久しぶりに自転車の本でも読もうと、めぼしい本を探していたらこの本が目にとまった。
『ものぐさ自転車の悦楽』です。
折りたたみ自転車のある生活を作者の実体験をもとに紹介しています。
この本のタイトルにある「ものぐさ」とは、あまり深く考えずとりあえず気軽に乗ってみようという意味。
折りたたみ自転車の楽しさを伝えるのがこの本のコンセプトです。
2010年発行の本なんですが、古臭さはなく現在でも十分に通じる内容の本となっています。
自転車は本来、自由な乗り物
自転車を始めたいけど「ロードバイクのピチピチウェアには抵抗が・・そこまでするなら自転車はいいや」という人も多いはず。
しかし、それで自転車をあきらめてしまうのはもったいない!
あまり深く考えず、私服でサドルにまたがってペダルを踏めば人生がちょっぴり楽しくなる。
自転車とは本来、そんな自由な乗り物なんです。
自転車に乗るスタイルなんて気にすることはありません。
この考え方は『ジャスト・ライド』という本にも通じるところがあると思います。
ジャスト・ライドについては『【自転車の本】ジャスト・ライド|あなたの自転車ライフを豊かにする本』で詳しく紹介しています。
乗るべきは折りたたみ自転車
この本では「買って後悔のない自転車は、ずばり折りたたみ自転車だ」と述べています。
ゆっくり風景を楽しみ、疲れたら電車に乗って帰る。
酒を飲んだら、折りたたんで電車やタクシーで帰ればいい。
折りたたみ自転車はまさに自由気ままな乗り物と言えるでしょう。
しかし、ホームセンターに売っているような重い折りたたみ自転車ではダメです。
作者がおすすめするメーカーは「ブロンプトン」「Birdy (旧BD-1)」「DAHON」の3つ。
これは小径車好きな私から見ても限りなく正解に近い選択だと言えます。
ブロンプトン、Birdyは15万円~、DAHONでも5万円~という価格です。
初心者の方は「ぜんぜん気軽に始められる金額じゃない!」と思ったかもしれません。
しかし、この世の中、良いものは高く、安いものはそれなりにできています。
これは自転車の世界も同じです。
詳しい理由はこの本を読んでみてください。
折りたたみ自転車の利点
マンションではなかなか高額な自転車を所有しにくい。
駐輪場に置いておくとイタズラされるし、傷が付くかしれない、それに盗難も心配です。
その点、折りたたみ自転車は良い、乗らないときは部屋の中に置いておけます。
また、小径車はタイヤが小さいから、たくさん漕がないといけないイメージがあると思います。
しかし、この本でも述べていますが、それは間違いです。
チェーンリングやスプロケットの調整でどうとでもなります。
私が現在乗っている自転車は、20インチの折りたたみ自転車「DAHON Visc EVO」です。
ママチャリしか乗ったことのない人がこれに乗ったら、そのスピードに驚くことでしょう。
ロードバイク並みとはいかないけど、クロスバイク並に走ることは可能です。
そして自転車に乗るときは姿勢も大切。
フォームについて詳しく知りたいなら「自転車の教科書」という本がおすすめです。
「ものぐさ自転車の悦楽」では“猫背乗り”を紹介していますが、「自転車の教科書」では“おじぎ乗り”を推奨しています。
おじぎ乗りについては『【自転車の教科書】おじぎ乗りがすごい!|自転車の正しい乗り方』で詳しく紹介しています。
どんな人におすすめな本?
- 新たに自転車を始めたい人
- 自転車通勤を考えている人
- これから輪行ツーリングをしたい人
- ロードバイクがマンネリ化してきた人
以上の方におすすめです。
作者は自宅から会社までの通勤に自転車を使うツーキニスト。
現在電車通勤をしていて、自転車で通勤をしたいと考えているならドンピシャな内容でしょう。
しかし、自転車通勤がメインの本というわけではありません。
自転車全般について幅広い内容が書かれています。
この本の詳しい内容は?
この本は「折りたたみ自転車を中心とした自転車入門ガイド」というのが正しいと思います。
「ものぐさ」というタイトルですが、実に細かく多岐にわたり書かれています。
私は初心者じゃないので、もっと折りたたみ自転車について掘り下げてもらいたかったというのが正直な感想ではあります。
しかし、作者の自転車知識はとても豊富で、現在折りたたみ自転車に乗っている私から見ても共感できることが非常に多いです。
自転車に長く乗っていないとわからないであろう知識をすぐに得ることができるので初心者は参考になると思います。
自転車の必需品の紹介でも実際に使ってみないとわからないことを経験を踏まえて紹介しているので買い方の参考になるでしょう。
そして、この本は「自転車マナー」についても結構なページを割いています。
作者はちょっと説教オヤジ的なところがありますが、現実にマナーが悪い人がいるのも事実。
これは車のドライバーだけでなく、同じ自転車乗りにも存在します。
作者の経験談や実践的な公道の走り方なども書かれていてるので参考するとよいでしょう。
輪行ツーリングについて
輪行は見知らぬ遠い街で「地元の人になることができる」というのは素晴らしい表現だと思いました。
輪行先の街を巡ると「その街に引っ越してきた」という錯覚を起こさせるそうです。
これはサイクリング好きなら大いに共感できるものがあると思います。
自転車に乗って街を走ると「こんなところにあの有名なラーメン屋があったのか」とか「古本屋がこんな場所に」なんて新しい発見をすることができるからでしょう。
車では一瞬で通り過ぎてしまいますし、基本大通りしか走りません。
ところが、自転車で巡るとその街のことが手を取るようにわかってきます。
歩きでの行動範囲はたかが知れていますが、自転車なら楽に移動でき、その行動範囲は数十キロに及びます。
たとえ知らない街でも自転車で数回足を運べば「地元の人」になったかのように街全体をすさまじく身近に感じることができるのです。
「その街の真の魅力がわかる」これが自転車輪行の醍醐味といっていいでしょう。
おわりに
折りたたみ自転車が欲しい、乗ってみたい!
けど使いこなせる気がしないで踏み止まっている人にぴったりな指南書です。
実際に折りたたみ自転車に乗るとわかるんですが、メリットもデメリットもこの本の内容そのまま。
古い本ではありますが、現在でも十分に通用する内容となっています。
趣味として自転車を始めたいと考えている人は、その一歩踏み出させてくれる本になるかもしれません。
ちょっとでも自転車に興味がある人が一読すれば、きっと折りたたみ自転車が欲しくなると思います。