機械式ディスクブレーキを使用していると、次第にレバーの遊びが大きくなったり、異音がしたりすることあります。
これは、ワイヤーが伸びたり、パッドが擦り減ってきたりするためで、その場合は、ブレーキの調整が必要です。
この記事では、機械式ディスクブレーキの調整方法をマスターするために、簡単なチェックポイントやコツをお伝えします。
メカニカル(機械式)ディスクブレーキについて
機械式ディスクブレーキは、ワイヤーを介してパッドを引き、そのパッドをローターに押し付けてブレーキをかける仕組みです。
パッドの稼働方式には、「片押し式」と「両押し式(対向式)」の2種類があります。
「両押し式」は、左右それぞれのパッドが動き、ローターを両側から挟み込んで制動力を得る仕組みです。
一方、「片押し式」は片方のパッドだけが動き、ローターを反対側のパッドに押し付けて制動力を得る方式となっています。
この記事で紹介している『TRP SPYRE MD-C605C』は、「両押し式」になります。
ブレーキパッドの引きずりを解消する
ブレーキパッドの隙間を調整し、引きずりを解消する方法を紹介します。
引きずりとは
ディスクブレーキが片効きしていたり、パッドとローターの隙間が適切でないときに「シュッ、シュッ」と異音がする現象を「引きずり(ドラッグ)」と呼びます。
まずは目視で確認する
両側のパッドの真ん中にローターがきているのが正しい位置です。
ローターが片方のパッドに寄っていたりすると引きずりを起こします。
ホイールを回転させながら、ローターとパッドの隙間を目視で確認し、パッドとローターが接触していたら、調整を行います。
パッドの隙間を調整する
このTRPのブレーキは「両押し式」なので、両側にパッド位置を調整するボルトがあります。
3mmの六角レンチを使って、締めたり、緩めたりすることで、パッドの位置を移動させることができます。
調整方法はとっても簡単。まずはパッドをローターに軽く当て、そこから少し戻してパッドとローターの間に隙間が見えるように調整してやります。
ブレーキを掛けたときに、両側のパッドがローターに均等に当たるように調整すれば完了です。
ローターに歪みがある場合
ローターが歪んでいて、一部がパッドに当たっている場合は、ローターを修正する必要があります。
小さな歪みなら、プライヤーやモンキーレンチ、素手でも修正できます。
感覚頼りの作業なので、ゆっくりと曲げながら慎重に調整していくのがコツです。
ブレーキ本体の位置ずれを修正する
パッドの隙間調整をしても片効きする場合は、ブレーキ本体の位置がずれている可能性があります。
固定ボルトを緩める
パッドの隙間を調整しても、ローターの位置が真ん中にならないことがあります。
そんなときは、上の画像にある2本の固定ボルトを緩めて、ブレーキ本体(キャリパー)の位置を調整してやる必要があります。
まず、5mmの六角レンチで上下2本の固定ボルトを緩めます。
ボルトは外さずに緩めるだけでOK。
固定ボルトを緩めると、ブレーキ本体を左右に移動させることができます。
適正な位置に固定する
つぎにブレーキレバーを軽く握った状態で、固定ボルトを仮止めします。
こうするだけでブレーキ本体を適正な位置に固定することができます。
ブレーキレバーを握ったり、離したりして動作確認し、必要ならパッドの隙間調整を行います。
ホイールを回転させてブレーキの引きずりが無いことを確認したら、仮止めしていた固定ボルトを本締めします。
ブレーキレバーの遊びを調整する
ブレーキレバーの遊びは、ブレーキ本体かレバー側にあるアジャストボルトで調整できます。
おわりに
機械式ディスクブレーキを使う場合は、パッドの位置を自分で調整できるようにすることが必須です。
しかし、調整自体は今回紹介した方法で簡単に行えます。
数百キロごとにパッドの状態を目視で確認し、正しく調整を行って、安全に走行できるように心がけましょう!