今回は5-56をめぐる疑問や噂について、正確な情報をお届けしたいと思います。
例えば「5-56には灯油が入っている」「使うとすぐにサビる」といった噂がありますが、これらは本当なのでしょうか? 実際のところはどうなのでしょうか?
この記事を最後まで読んでいただくと、5-56についての正しい知識を得ることができます。
Q. 5-56は自転車チェーンに使えないって聞いたんだけど、本当?
A. いいえ、自転車チェーンにも使えます。
スプレー缶には自転車の画像が載っており、公式でも自転車チェーンへの使用を推奨しています。
ただし、バイク(オートバイ)のチェーンには使えません。なぜなら、バイクのチェーンは自転車のチェーンよりも高速で高負荷な状態で回転するため、5-56の潤滑膜では耐えられないからです。
Q. 5-56の主成分は灯油なの?
A. いいえ、灯油は含まれていません。
昔からよく聞く「5-56には灯油が入っている」という話。実はこれ、誤解なんです。実際、5-56には灯油だけでなく、シリコンや研磨剤も含まれていません。
おそらく「石油系溶剤」という名前から灯油と勘違いされているのだと思います。
5-56に使用されている「石油系溶剤」とは、潤滑油の溶剤として使われる「特殊な石油系化合物」であり、燃料用の灯油とは異なるものが使われています。
Q. 5-56を使うとサビやすくなると聞きました
A. いいえ、間違いです。
「5-56はほとんど石油系溶剤でできているため、使うと油分が流れてすぐにサビる」という噂がありますが、これも事実ではありません。
潤滑剤をグリスの塗ってあるパーツにスプレーすると、グリスが流れ出てしまうのは当然のことで、これはそもそも使い方が間違っています。5-56をスプレーしたら「動きが鈍くなった」「しばらくしたらサビた」というのはグリス切れを起こしている可能性があります。
一般の人が潤滑スプレーを使うと、ブレーキや変速機などあちこちにスプレーしたくなりますが、これがいけません。潤滑剤をスプレーしてはダメな場所があるんです。よくわからなければチェーンだけに使用するようにしてください。
それから、わたしは以前、手持ちの潤滑剤の防錆テストを行ったことがあります。各潤滑剤を塗ったカッターの刃に、海水と同じ3%の食塩水を毎日かけ続けるというものです。
そのテストで5-56は、1か月以上サビることはありませんでした。もちろん、高価な潤滑剤は2か月以上持続するものもありますが、コスト面から考えると5-56は非常に優秀な潤滑剤だと言えます。
Q. 5-56は雨ですぐに流れるって本当?
A. いいえ、簡単には流れません。
5-56は、シャバシャバした液体から水で流れやすい印象を受けますが、金属への定着率はかなり高く、チェーンに被膜を形成したあとは、雨で簡単に流れることはありません。
ただし、雨の日に乗った後は、追加でスプレーしておくと効果が長続きします。これは他のチェーンルブでも同様のことが言えますね。
Q. 5-56は雨で濡れたチェーンにも使える?
A. はい、使えます。
知らない方も多いかもしれませんが、5-56は「水置換(みずちかん)」という性質を持っています。
この性質により、雨で濡れたチェーンにスプレーすると、チェーン内部に入り込んだ水を追い出して、金属表面に被膜を形成することができます。
そのため、洗車後や雨天後など、チェーンが濡れている場合でも、安心して5-56を使用することができます。
Q. 5-56は洗浄剤としても使えるって本当?
A. はい、ある程度は洗浄効果があります。
5-56には油汚れを溶かす性質があるため、自転車のチェーンやパーツの油汚れを拭き取るのに効果的です。
また、金属パーツの油汚れを拭き取った後は、防錆効果も得られます。
ただし、潤滑成分(油分)は残ってしまいます。 油分を完全に取り除きたい場合は、「パーツクリーナー」などの専用の洗浄剤を使用する必要があります。
Q. 5-56はサビ取りに使える?
A. はい、少しのサビなら落とすことができます。
5-56にはサビを溶かす作用はありませんが、サビを浮かせて落としやすくする効果があります。
サビがひどい場合は、5-56を複数回スプレーしたり、ワイヤーブラシなどを使ってこするとよく落ちます。
簡単なサビ落としには有効ですが、完全にサビを除去したい場合は、専用のサビ取り剤を使用することをおすすめします。
Q. 鍵穴の潤滑にも5-56は使えますか?
A. いいえ、使えません。
5-56は油性なので、ホコリや汚れが吸着しやすく、それが鍵穴内で固まり、鍵穴が詰まることがあります。
鍵穴には「鍵穴専用の潤滑剤」を使いましょう。これらの潤滑剤は粉末状やドライタイプなので、ホコリや汚れが吸着しにくく、鍵穴内部を傷める心配もありません。
関連記事:自転車の鍵に注油はNGだった!?鍵穴に使っていいのは専用スプレーだけ
Q. 5-56は接点復活剤として使える?
A. はい、使えます。
5-56は、接点の汚れを落とし、通電を正常な状態に戻す効果があります。
そのため、接点の接触不良が原因で不具合が発生している場合、5-56を使うことで症状が改善する可能性があります。
使用するときは、直接スプレーせず、布や綿棒などにスプレーしてから接点に塗布するようにしてください。とくに「5-56 ペンタイプ」は塗りやすくておすすめです。
関連記事:飛び散りの心配なし!KURE 5-56 ペンタイプでピンポイント潤滑
Q. 5-56はシール剥がしとしても使える?
A. はい、使えます。
5-56は、シールの粘着剤を溶かす効果があります。
シールの剥がし跡にスプレーしてしばらく時間を置いてから、定規などで擦ると、キレイに剥がすことができます。ただし、液体がしみ込んでしまう場所には使用できないので注意が必要です。
おわりに
5-56の液体は、シャバシャバしており、すぐに水で流れてしまいそうなイメージがあります。このような先入観が先行して、5-56は耐久性がなく、サビやすいと見なされてしまったのかもしれません。
確かに、粘度が高い潤滑剤に比べたら耐久性は劣るかもしれませんが、性能は決して悪いものではなく、この値段からしたらむしろ優秀です。
それから、ママチャリなどに使われているような安価なチェーンは、表面処理のグレードが低いものが使われています。そのため、どんな潤滑剤を使っていても、外に置いておけばサビることは避けられません。
さらに、ママチャリのような日常使いの自転車を持つ人は、チェーンに定期的に潤滑剤を塗ることがあまりありません。このような使用実態から、5-56に対する悪評が広まったのではないかと考察します。
わたしは、雨ざらしのママチャリなんかは、5-56一本でメンテナンスしています。楽で良いですよ。