小径車でヒルクライムをしよう!
私の愛車は「DAHON Visc EVO」という20インチの折り畳み自転車です。
はじめ小径車はヒルクライムに適していないと思っていましたが、ゆっくり登るならロードバイクよりキツイということは全くなく、同じくらいのペースで登ることができます。
ただし、フロントのチェーンリングはダブルで、ヒルクライム向けに低いギアセッティングにしたほうが良いでしょう。
今回は、小径車でゆる~くマイペースに登る「ヒルクライムのコツ」と「下りの心得」を紹介します。
基本はロードバイクの登り方と同じなので、初心者ロードバイク乗りの方にも参考になる内容になっているかと思います。
ヒルクライムのポイント
まず、「ヒルクライム=がんばって登る」というイメージは捨てましょう。
なぜなら、がんばって踏むとフォームが崩れるからです。
ラクに踏んでいるときのフォームが基本。
苦しくても自分のフォームをしっかり保つことが大事。
ペダルをクルクル回しながらラクに登れるフォームを探ってみてください。
ヒルクライムのシッティング
※シッティングとは座って漕ぐこと、ダンシングは立ち漕ぎのことです。
- ペダルに体重を乗せる
- 腹筋に力を入れる
- ハンドルに体重をかけない
- いつもより少し後ろに座る
- 頭の位置を下げ、お腹を丸める
まず、ペダルに体重を乗せることをイメージしてください。
腹筋に力を入れた状態でペダルを踏むと、しっかり体重が乗ります。
次にハンドルに重心がいかないようにします。
手をハンドルから浮かせるイメージで、座る位置をいつもより少し後ろへ。
勾配がきついときは前に重心を乗せたほうがいい場合もありますが、7~8%くらいの坂は少し後ろの方へ座れば大丈夫です。
その状態から頭の位置を少し下げて、お腹を丸めるとすごい腹筋を使うと思います。
そうすると勝手にペダルがくるくる回りだして踏み足がアシストされます。
これらは小径車もロードバイクも同じ、これらのイメージを大切にしてください。
ダンシングのポイント
座って踏んでいると一定の場所にストレスが掛かります。
そこで、“ダンシングを組み合わせて疲労を分散”させます。
- 疲労を分散させることが目的
- 疲れる前に切り替える
- あえて重めのギアにする
- 重心は後ろ、お腹は丸める
- ハンドルはしっかり握る
シッティングで踏んで疲れる前にダンシングに切り替えます。
そうしないとダンシングするのがつらくなるので早めに切り替えることが重要です。
ダンシングする場合は、そのままのギアでなく、あえて重めのギアにします。
ギアが軽いままだとダンシングがおかしなことになるからです。
重心は後ろにし、お腹は丸め、ハンドルはしっかり握ります。
これが上りでのダンシングの基本。
また、体が動かないくらいハンドルを思いっきり握って引っ張ると、「腕を使った脚を休めるダンシング」ができます。
シッティングとダンシングを使い分けて筋肉の疲労を分散させれば、持久力を高めることができるでしょう。
心拍計があると便利
心拍計があると自分の体力を管理しながら走ることができます。
体と会話しながら、自分の体力を見極めることがヒルクライムを登りきる近道です。
Bluetoothの心拍計なら、サイコンがなくてもスマートフォンのアプリと連動することが可能です。
実際に登ってみる
ヒルクライム序盤
ヒルクライムは「序盤で飛ばしすぎないことが重要」です。
ヒルクライムの攻略は、序盤がカギを握ると言っても過言ではありません。
初心者は序盤から頑張ってハイペースになりがち。
だから、終盤で脚が切れてしまうんです。
- 重いギアで無理をしない
- 心拍数を上げすぎない
- 体力が余っていても我慢
脚に少しでも重さ(ストレス)を感じたら、すぐ軽いギアに入れます。
序盤に急な坂がある場合も、ためらわず軽いギアにしてください。
「頂上まで体力を温存して登りきる」ことをイメージしてください。
ヒルクライム中盤
中盤まで来ると心拍数が上がってきて130bpm~になっていると思います。
心拍数は130〜150bpmを目安にします。
- ゆるい坂:心拍数130~140台
- 急な坂:心拍数150までに抑える
160bpm以上は心臓がバクバクしてキツいです。
坂がゆるくなったり、平地の場所に来たら足を休めて呼吸を整えます。
速度は気にしなくていいです。
大げさにいうと少しペダルを緩めたら止まってしまうくらいの速度で大丈夫、無理をしないことが頂上まで登るコツです。
「ひと目を気にせずゆっくり登れる」この点が小径車のメリットでしょう。
ロードバイクでは「速く登らなくてはいけない」、「後ろが気になる抜かれたくない」という気持ちになってしまいますからね。
ヒルクライム終盤
序盤から中盤にかけて体力と脚を温存していれば、終盤も比較的楽に登れているはずです。
そのままのペースで頂上を目指します。
すでに一番軽いギアで、脚が重く心拍数も上がりっぱなしの場合はスプロケットを見直してください。
はじめての場所では、カーブの先のことは考えないようにしましょう。
カーブの先が見えたら絶望してしまうかもしれませんから(笑)
私の場合、つらくなってきたら「今欲しい商品」のことや「ブログの内容」を考えたりしながら登って気を紛らわします。
下りでスピードは出さない
これから紹介する「下りの心得」は命に関わる重要なお話です。
- 安全第一、無理をしない
- マイペースを貫く
- つられてスピードを出さない
- 煽られても動じない強い心を持つ
- 安全なところで先へ譲る
- 急カーブは「もしも」に備える
とにかく下りは“安全第一”です。
とくに、先が見えない急カーブでは「もしも」に備えることが重要。
マイペースを貫く
下っていると稀ですが車に煽られたり、ロードバイクにピタッと後ろにつかれることがあります。
プレッシャーを感じますが、マイペースを貫く強い心を持つことが大切。
ほとんどの場合は自然と追い抜いてくれますが、抜けない状況でヘイトをためても仕方がないので、手信号で意思表示をして後続車を安心させます。
右手を横に出し、手のひらを前に振って「お先にどうぞ!」と合図します。
道が狭かったりして中々抜いてもらえそうにない場合は、ゆるい坂で停止して先に行かせたほうが気が楽です。
絶対に無理をしない
カーブの先が見えず、安全を確認できないところでは絶対に無理をしないこと!
はじめて下る場所ならなおさらです。
「どうせ誰もいない」と急カーブに突っ込むような無謀な真似をしてはいけません。
急カーブは手前でスピードを落として万が一に備えます。
私は常に「車がはみ出してくるかも」と考えるようにしています。
自転車でも車でも下りが遅い人をバカにする人がいますが、これはテクニックの問題ではありません。
そういう人は危険が予測できない人、事故に合ってないのは運が良かっただけです。
左側が安全とは限らない
イン側を走っていても安全とは限りません。
自転車は左側、つまり対面は右側通行なので「登山中の歩行者」や「ランニング中」の方がいる可能性があります。
2列・3列になって、おしゃべりしながら登ってくる歩行者がいるかもしれません。
それを避けようとしたところに対向車が来たら?
ちょっとオーバーかも知れませんが、このくらい予測することが大切なんです。
路面に気を配る
「ガタガタ道」や「落ち葉」でタイヤをとられる場合があります。
小径車はホイールが小さいので気をつけなければなりません。
ヒルクライム中、下りに備えて反対車線の状況をチェックしながら登るとよいでしょう。
また、サングラスをしていると日陰の路面が見にくいので、しっかり目で捉えるように気を配ります。
あと「枝」が意外に凶悪。
思ったより固くて丸っこいのでハンドルをとられたり、後輪に結構な確率で絡んだりします。
決して興味本位で踏んではいけません。
急カーブで無茶をしない
下っているとロードバイクの方がかなりのスピードで追い抜いていきます。
とくに集団だと前走者と離れないようにするためか無理して追い抜いていく方が多い。
そのスピードで急カーブに突っ込んで大丈夫なのだろうか?
いや、大丈夫なわけがない。
絶対に安全じゃないし、もしものことがあったら止まれないだろうなぁと思って見ています。
ロードバイクの高校生が観光バスと衝突した死傷事故がありました。
回送中の大型観光バスが左カーブを走行中、バスの直前で15歳の男子高校生が乗る自転車が転倒、バス側の車線に進入、バスの前頭部に衝突した。さらに急カーブのため車線をまたいでいたバスの車体後部にも衝突した。後続の17歳男子高校生の乗る自転車も避けきれず、バスの側面部へ突っ込んだ。
事故を回避するにはどうしたらよかったのでしょうか?
それは、相手がどんな運転をしてくるか分からない以上、自分が気をつけて減速すればいいだけの話だったはずです。
亡くなった高校生はかわいそうですが、「もしも」を予見して、急カーブ前で減速していれば防げた事故だったでしょう。
車線をまたいでいた観光バスにムカついても死ぬことは無かったはずです。
私の経験ですが、バスに限らず、峠でセンターラインを割って走ってくる車は多いですよ。
大幅に割ってこなくても中央よりで曲がってきます。
狭い道だから大きな車ほど圧迫感があります。
いつでも起こり得る事故という認識を持ちましょう。
まとめ
上りでは、体と会話しながら自分の体力を見極めて登りましょう。
景色を見る余裕を残すペダリングを心がけるのがポイントです。
下りでは安全第一、絶対に無理をしないこと!
危険を回避できない速度は出さない、路面に気を配ることが大切です。